たくさんの成分を配合できる?

たくさんの成分を配合することは、可能です。一方、商品設計上、以下の点に注意が必要です。

1. 成分の剤形適正や反応性
2. 原料の最小梱包単位と有効摂取量
3. クリエイティブの焦点

※我々の経験上、特に、クリニックルートなどでは、数多くのビタミン・ミネラルを配合された商品設計が好まれるので、注意が必要です。

1. 成分の剤形適正や反応性


成分によっては、同時に配合しにくい成分というものが存在します。

まず、油脂系の原料と粉末系の原料は、同時に配合しにくいです。
例えば、錠剤に油脂系原料を用いると、錠剤表面に油脂が染み出し、剤形が保てなくなることもあります。また、ハードカプセルに油脂系の原料を配合すると、流動性が損なわれ、充填できなくなるケースもございます。

油脂系の原料は、基本、ソフトカプセルなどの加工を行うことが前提になっています。例えば、魚油などの原料を無理やり錠剤やカプセルに配合した場合、酸化臭が生じてしまい、クレームにつながることもございます。また、アスタキサンチンやリコピンのようなカロテノイド系素材は、ソフトカプセル加工しないと、体色と共に減衰してしまいます(ビーズ原料を除く)。

こういった原料と製剤の相性を剤形適正と呼びます。剤形適正が合わないと、製造後、大きなクレームにもつながりかねないので、注意が必要です。

参考:DHA魚油の錠剤の商品を作れますか?

次に、多くの成分を配合した場合、気を付けるべき点は、成分間の反応性です。
同時に配合してはいけない成分組み合わせというものも存在します。

例えば、ビタミンCとコラーゲンの組み合わせが代表的であり、この組み合わせは、メーラー度反応を引き起こし、コラーゲンが茶色に褐変してしまいます。

さらに、組み合わせによって、効果が失われてしまうケースもあります。
ナットウキナーゼなど酵素活性が特徴の素材は、生姜やニンニクなど、一部の原料との組み合わせで活性低下を示すことが知られています。

栄養成分表示について


多くのビタミンやミネラルを配合し、マルチビタミン・ミネラルなどを謳う(強調表記を行う)場合、必ず栄養成分の表示が必要になります。そして、平成27年4月の食品表示法の改定により、賞味期限内の減衰も加味した管理が求められるようになり、製造時の分析以外にも、加速試験や賞味期限期間の成り行き保管を行ってからの分析が求められるようになりました。

参考:ニーズが高いクリエイティブNG表現例 5. マルチビタミン/マルチミネラル

必ず減衰するビタミンは増し仕込みも必要になり、ビタミンやミネラルなどの栄養素を表示する場合、管理コストがかかるようになってきているのです。

なお、この管理は、パッケージに栄養成分を表示して強調表記を行う場合です。現時点では、広告表現にまで管理は求められていません。そのため、パッケージでは強調表記は行わず、広告表現でのみ成分量を謳われるケースが少なくないのです。

2. 原料の最小梱包単位と有効摂取量

数多くの成分を配合する場合、商品設計上、原料の最小梱包単位に対して注意が必要です。

例えば、指定原料の最小梱包単位が1kgであった場合、商品設計上、製造時に指定原料を200gしか使用しなければ、800g余ってしまいます。仮に、本製品の製造が1回で終わったならば、その原料は、他の商品で使用しない限り、破棄することになります。したがって、コスト計算を行う場合、その原料のコストは、800gを捨てること前提で1kg使用するコストを組み入れることになります。

したがって、最小梱包単位を使い切れない成分や原料を多く使い過ぎると、その分、コストも無駄に上がってしまうのです。

ただし、各OEM会社には、原料の最小梱包単位を気にしないで使用できる汎用原料という原料が存在します。弊社もしくは弊社関連会社が持つ汎用原料(ビタミン・ミネラル・弊社自社原料)も有効利用した方が多くの成分を少しづつ配合しやすいのです。

参考:汎用原料

また、原料には、有効摂取量(摂取目安量)というものも存在します。
そのため、有効摂取量で設計する場合、生産量の調整で最小梱包単位を使い切る調整が必要になります。

なお、原料の最小梱包単位は、原料によって25kgというものもあります。弊社では、各原料のデータベースより、最小梱包単位もすぐに把握することができる体制になっており、経験豊富なスタッフによって生産量の調整も容易に行える体制が整っております。
有効摂取量に由来する必須の配合量などがあれば、お気軽にご要望をお伝えくださいませ。

出来高出荷制とSDGs



弊社では、SDGsの食品ロスをなくすという観点から出来高出荷制で供給を行わせていただいております。

例えば、1000個の商品を製造しようとした場合、製造ロスなどで、製造量が±10%(サプリメントの場合)で誤差が生じてしまいます。例えば、1058個などという半端な量が製造されてしまいます。その場合、出来高出荷制で出荷せず、発注量の1000個で納品するならば、58個の商品(もしくはバルク)は、廃棄(→食品ロス)することになります。ちなみに、この廃棄分は、商品原価に乗ってくるため、見積価格も必然的に高くなってしまいます。

食品ロスの観点からも、弊社では、出来高出荷での供給をお願いしております。
ご理解の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

3. クリエイティブの焦点


数多くの成分を入れた場合、広告クリエイティブの焦点がボケてしまう可能性があります。
売れる商品作りを行うには、数のクリエイティブに限らず、量や質のクリエイティブも加味しながら、商品クリエイティブのフックを作っていくことが重要です。

※左図:栗山が推奨する3点設計

参考:失敗しないサプリメントの作り方

なお、数のクリエイティブだけで、顧客満足度が伴わない商品は、リピートで儲ける通販事業では、リピートが取れず、儲からない販売モデルになってしまいがちです。その傾向は、定期購入の縛りが行いにくくなっている近年、さらに強まっております。ご注意ください。

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